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「…誰かいるのか?」
いつの間にか前方に現れていた人影。
逆光に目が慣れてくると、徐々にその正体を把握するに至る。
「誰だ、君?」
その影の正体は…小さな女の子だった。
パジャマ姿でそこに立つ彼女。
オレンジ色の、少し派手なチェックの柄模様。
病院の患者だろうか?
俺の問いには答えようとしない。
ただ何をするでもなく、暫くこちらを観察していた。
「あなた、怪我してるの?」
「あ…ああ。腕をちょっと骨折しただけさ。大丈夫だ」
声が掛けられる。しきりに俺の腕を気にしていた。
「それは痛いの? 苦しいの?」
「ん? …まあ痛いし、それに明日は大事な用があったけど、…はは、これじゃあ行けねえけどな」
「分かった。治してあげる。じっとしてて…」
「え?」
彼女は音もなく、フッと傍に体を寄せてきたかと思うと、俺の腕にギプスの上から手を添えてくる。
…すると次の瞬間、腕を包むような淡く温かな白い光が目の前に広がった。
「なんだ…こりゃ?」
どういうわけか、彼女本人のてのひらから発光している。
何も光源となるものは物は持っていない。
一体何が起きているのか…?
10秒程だった。
俺にはただただ不思議でたまらない光景だった。
「…はい。終わり」
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