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原田
「紀世乃様、何故今なんです。貴女も宗太郎様も、葵の側にいる。
俺なんかより、ずっと!」
紀世乃は、哀しげな笑みを浮かべる。儚げで綺麗な笑み。
紀世乃
「私達では駄目なの。あの人が葵に『紫苑流』を教えているけど、葵の身に降り掛かるのは、それで防げる程度のものじゃない。
そう、私達では無理なのよ。」
紀世乃
(だって、私達には『この先』がない。
私も宗太郎も二人共、もう間もなく死ぬでしょう。その刻は近い。)
紀世乃は知っていた。生来の特異な『能力』で、自らと宗太郎の死を『予見』してしまったのだ。
そして、その所為で葵は己が『宿命』から、逃れる術(すべ)を失うことになる。
ーそして、『惨劇』の幕が開くー
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