十 梨桜

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 むかしむかしあるところに。  全人類。男女問わずが認める、この世で最も優れた。神々しい容姿を持ち合わせた少年がおりました。  好みがある無いにしても、誰一人として、その少年を侮辱することが出来ない程の少年。  運動はそれほど得意では無い。だが代わりに、勉強が得意な。何処にでも居るような性格の少年。  この世で最も格好良くて。  この世で最も平凡で。  この世で最も異常な。  少年が、おりました。  人との繋がりが、薄っぺらい無意味な存在に思える。  そこに存在する必要性が、皆無と言って良い程に無く思える。  明確な理由を説明しろといわれても、説明することは出来ない。  ただ言えるのは、物語に置いて、『本当に許しあえる関係』すらも、そんなのは上辺だけに見えて、仕方が無い。  その人の暗い過去を知っていても。  その人の性格を熟知してるとしても。  それが何になる? 本当に許しあえているのか? 分かりあえているのか? 知っていることが、それと何か、関係しているのか?  もししているとして、知っていることに、意味はあるのだろうか。  知らなくても知人だと、友人だと、名乗ることが出来る。家族だ、とすらも、名乗ることが出来る。  そんな世の中。人間社会において、人とのつながりの必要性なんて、存在する価値があるのだろうか。  少なくとも僕は、必要あるとは感じられない。
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