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それから数時間
空を薄く覆っていた雲はすっかり消えてなくなり、キラキラと輝く星々がセロの頭上を見下ろしている。
雷光虫が辺りを明るくしてくれるのに加えて月明かりも地を照らしているために夜ではないほどに明るい。
そんな空間でセロはまたも寝付けずにいた。
馬車の中といい今回といい、なぜだかセロは眠くならない。 不眠症とは何かが違うが、本人は気にしていなかった。
「しょっ……と…」
ゆらゆらと揺れる焚き火に拾ってきた枝を投げ込んだセロは、マグカップに注いだコーヒーをちびちびと飲んでいた。
…顔に似合わず無糖である…。
「帰りが遅いから心配したけど…、二人とも無事でよかったよ」
珍しくサングラスを外して脇に置き、すぐ横のテントに顔を向けるセロの表情は安堵を表しているが、それとは裏腹に若干の不安も感じさせている。
実はアオイもリベリもリオレイアのことをまだ話していなかった。
しかし別にわざとではない。
ただ単に二人ともが話忘れているだけなのだ。
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