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「うわっ!」
「セロ! どうした!」
獣の強襲を受けた少年は咄嗟に回避行動を取ることで難を逃れ、前を歩いていた少女が振り返ったときにはすでに武器を手に取り臨戦態勢へと入っていた。
「大丈夫だ、当たってはない」
「すぐいく!」
少女は背に担いでいた長い刄の柄を握り、鞘から引き抜くと同時に獣の体を一閃すると、服のポケットから瓶のようなものを取り出してピンを抜き、すぐに投げて叫ぶ。
「目を瞑るんだ!」
言い終えるか終えないかはわからなかったが、二人とも瓶に背を向けて目を瞑った。
瓶は音をたてずに爆裂し、辺りが一瞬真っ白になる。
閃光玉…、 それがこのアイテムの名前だ。
殺傷能力はないが、いまのような眩い光で視力を奪うことができる。 …たかが数秒のあいだだが。
「死にぞこないが!」
少女は混乱している獣の背後に周り込み、下から上へと刄を切り上げると鮮血が飛び散り顔にかかる。
「足元に携帯シビレ罠を」
「わぁってるよ」
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