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ゆらゆらと揺らめく火を見つめながら、二人はこんがり肉にかぶりついていた。
今回のキャンプは丘の横穴にあり、焚き火の炎が洞窟の天井に幻想的な雰囲気を映し出している。
あのあと無事にドスジャギィの討伐に成功したのはよかったが、残念ながらジャギィノスを駆逐することはできなかった。
依頼を完了したときにはすでに辺りは真っ暗だったのだが、今日は運よく満月なので足下も明るく、素材を剥ぎ取ってなんなくキャンプに帰還できた。
「モグモグ…、なぁアオイ。 足はもう大丈夫か? 動きを見た感じだと支障はなさそうだけど」
珍しくサングラスを外しているセロの赤目に視線を合わせずに無言で右足の裾を捲る。
まだ傷は完治してはいないようで、患部に巻かれた包帯は少し血が滲んでいるようにも見える。
「すまない。 まだ完全には治っていなかったようだ。 痛くはないが傷口が開いてしまったようだな」
「無理すんなって言っただろ? 帰ったらちゃんと医者に診てもらうんだぞ」
「…ま、また縫うのか…」
「…?」
アオイの独り言はセロの耳では聞き取れなかったようだが、言動から察するにアオイは針が苦手なようだな。
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