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ジンオウガ事件もあったので、夕食を済ませた二人はすぐさま馬車へ荷物を積み込み、月明かりに照らされながら渓流を後にしていた。
そしてその帰り道
「グー……グー……」
セロは箱に寄りかかって爆睡状態、アオイは運転手とジュリアたちについてのお喋りをしていた。
「…そうか、二人はそれほどに腕のたつハンターだったのか」
この運転手猫は瞬殺の対極とはかなり面識があったとのこと。
まったく休まずに連チャンで強敵の狩りへと出る二人が化物のようだったらしい。
「ユーセイさんは正直ちょっと苦手だったニャ。 なんというか、謎の多いハンターさんだニャ。
ジュリアさんはそれとは全く正反対の明るく優しい方でニャ…、いっつも誰かとお喋りしてる人だったのニャ」
夜風に吹かれながら話を続けるアイルーはなんだか楽しそうにも見える。
「嵐龍を撃退したと聞いたときは奇跡が起きたと心底実感して、二人が帰ってきたら飛びついてやろうとか考えたニャけど、その後の言葉でそんなことは吹き飛んじゃったニャ…」
「…………」
この気持ちはなんだろうか。
本当のことを教えてやりたいが、鍛冶屋のおじいちゃんとの約束なので話すわけにはいかない…。
それがなんとももどかしくて、暗い雰囲気から逃げるかのように夜空を見上げると、月と星々も逃げるかのように雲の中へと隠れてしまっていた…。
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