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アオイはハンターになったばかりの頃に比べると何倍も強くなった。
どんな相手にも冷静に対処する彼女は、知識を除けば熟練ハンターと同等であろう…。
だからこそいくつもの隙が生まれる。
ドスジャギィのときも攻撃を軽々かわしていたが、あれは完全に『おそれ』を忘れてしまっていた。
いまのままではいつの日か、一つしかない命を投げ出してしまうことであろう。
「自分の甘さを雷狼竜と闘って私はわかったのだ…。
ハンターが常に死と隣り合わせということを思い出したのだ…。
それでも私は、セロとともにこの道を進む。
そして、ジュリアやユーセイのような二つ名を世に広めてみせる…」
出来立てのアサシンカリンガの柄を握りしめて空へかざしたが、陽射しが眩しくて目を細めた。
「アオイとセロなら見込みはあるはずじゃ。 少なくともわしはそう思う」
「…ふふっ…、ありがとう」
礼を言って背を向けた彼女は碧色の勾玉を右手で包み込みながら、広場へと続く階段を登っていった……。
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