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А4用紙の右下には、確かにあの無人駅の名が書いてあり、進むべき道は奥へと伸びている。
用紙から目を離し、商店街を見やる。
人も居ない、雀も鳩も烏も居ない、あまつさえゴミすら落ちていないこの商店街の、どこに宿屋があるというのだろうか。
もしかすると、これは侘助の悪戯なのではないか。
どうせ居なくなる奴なのだから、最後に一発騙くらかしてやろうと思ったのでは?
何ともいえぬ疑念を覚えながらも、取りあえずは地図の通りに進んだ。
これで宿屋が無かったとしたら、それはそれで別に良い気さえして来たからだ。
ここまで来たからには少しばかり見て回りたいという探検心も無いと言えば嘘になる。
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