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それまでに感じてきた不安など無かったかのようにホッとした義隆は、ようやく目的の場所へと足を踏み入れた。
「ごめんくださーい」と、一応ネット予約はしたのだが、いまいち自信なさ気に玄関を潜る。
上がり框(かまち)に居たのは、黒光りする床に三つ指を着いて出迎えるお団子頭。
「いらっしゃいませ」
はっとした。
花が咲いたと喜ぶ少女のような声に。
お団子がふわりと持ち上げられる。
その拍子に、かんざしに付いた細やかな装飾がきゃらりと鳴った。
「お待ちしておりました、笠間様」
義隆は上げられた彼女の顔に驚きを隠せなかった。
正しくは、とても人間らしからぬ彼女の瞳に。黒い瞳孔以外は真っ白なのだ。
白目も虹彩も、本来ならば着いているべき色が無い。
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