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「大変失礼いたしました」
焦らず、柔らかな口調のまま撫子が膝を着く。
抜け落ちた右腕を拾い、胸に抱えた。
「では、お部屋へ案内いたします。笠間様のお部屋は『杜若(かきつばた)の間』になります」
驚きのあまり開いた口が塞がらない義隆だったが、撫子は気にも留めずに廊下へ続く暖簾をくぐる。
女性がカタカタカタという音を鳴らしながら遠ざかっていくというのは、なんともシュールな光景なのだろうか。
義隆は桃色の着物から目を離し、明後日の方向を見た後に目を閉じた。
――『どっきり企画』ではなかったけれど、違う意味でそれ以上にどっきりする事になるだなんて……思ってもみなかった。
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