第二章

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タヌキのように垂れ下がった一重に、肩まで伸びたワンレンセミロングがあごひげと良く似合う。 ロングティーシャツにトレーナーというラフすぎる格好である。 「はい。笠間と言います」  礼儀正しく頭を下げる義隆に、男性は片手を上げて応えた。 「俺は寛太、よろしく」  人懐こい笑い方をする人だな、と義隆は目を細める。 叔母もそうだった。 その笑顔でどんな相手の懐にも無遠慮に潜りこむような。  思い出に耽っている義隆をよそに、寛太は人差し指をぴこりと頬にあて、華麗なまでのウインクをかました。 「ここに寄生し始めて五年目の二十八歳男児です!」
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