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義隆は唖然と階上の男を見上げる。
三十路前にもなってまでウインクだとか、なのに何故かウインクが似合うなとかは放っておいて、彼の台詞にぽかんとした。
「五年……、ですか……」
「『すずの荘』についてはベテランだから」
確かに、五年目ともなればベテランなのだろうけど、そろそろ他の道のベテランになった方が良いのでは? と、そう思わずにはいられない。
そういう義隆も只今フリーター生活の真っ最中なのだが、一応内定が決まっていたといえば決まっていた訳で。
と、寛太が階段を一段一段、踏みしめるように下りて来た。
まるで我が家を歩くような慣れように呆れ顔を隠せない。
突然、ふわりと義隆の顔に風が当たる。
耳元に寛太の口が寄せられた。
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