219人が本棚に入れています
本棚に追加
「あんまり色目使わないほうがいいよ~?」
一体なんの事だと顔をしかめれば、寛太はからかうような声で続けた。
「いくら可愛くても、所詮は人形だしね」
人形と言われ脳裏に浮かぶのは撫子しか居ない。
横を見れば、訳知り顔の寛太が挑戦的な目でこちらを見ている。
義隆は対抗するように返した。
「綺麗なものを綺麗だと思って何が悪いんですか?」
綺麗な人とは話したいと思うし、見ていたいとも思う。
それは人間にとって当たり前の感覚だろう。
寛太は興味深そうに義隆を見つめた。
そしてすぐに満面の笑みを浮べる。
「うん、そりゃあそうだね」
キュッと下がった目尻には、先ほど抱いた不快感を忘れさせる愛嬌があった。
なんと憎めない男だろう。
最初のコメントを投稿しよう!