第二章

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「じゃあ、俺は先行っとくねー」  振り返らずひらひらと手を振りながら、寛太は廊下へ消えて行く。 なんとなくホッとしている自分に気付いた義隆は、もしかして動揺していた事がバレたのか? と彼が消えて行った廊下を眺めた。 こうしていると、小学生の頃を思い出す。 あの頃の自分は、答案用紙の問題を繰り返し読んでいると答えが浮かんで来ると思っていた。 結果的には時間が来るまで白紙で、叔母にしこたま叱られてしまったのだが。  いくら廊下を眺めても、見えるものは奥へと続く空間のみである。 義隆は諦めたように溜息を吐き、一階へと足を踏み入れた。
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