219人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めたのは、部屋の前を撫子が通り過ぎた音がしたからだ。
流石に襖一枚では、カタリカタリと木の触れ合う音がよく響く。
そうでなくとも、人が通るだけで床を踏む音が聞こえるのだから、プライバシーも何もあったものではない。
時計を見れば短針は七時を知らせていた。
朝食は八時からなので、あと一時間は余裕がある。
もう半刻寝ようとも思ったが、なんとなく、起きてみるのも良いかな、と義隆は背中を反らし思い切り身体を伸ばした。
頭も目も冴えているので問題は無い。
立ち上がった義隆は、灰色のスウェットを脱ぎ捨て、ジーパンへと手を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!