第二章

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 『すずの荘』には、外界との通信手段がないのだという事を、今になってようやく気付いた。一体どうして。  その時、『床の間』に柔らかな女の声が滑り込んで来た。 「おはようございます、藤原様、笠間様。昨夜はよく眠れましたでしょうか?」  振り向けば小さな女性が立っている。天然では有り得ない、人工の真っ白な目を持つ女性が。 『夢で逢いましょう』  確かにこの宿屋は、夢の中のようなところだ。
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