第二章

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 ボロボロな女性だ、というのが第一印象か。 背の真ん中辺りまで伸びた茶髪が邪魔で、伏せられた顔はうまく確認できない。 背は丸まり足取りは重く、女性らしい華やかさが全く感じられなかった。 少しでも触れてしまえば一気に崩れ落ちてしまいそうな危うさが一目で判る。  二つの足音が二階へ上がりきった事を確認し、義隆は階段の前まで様子を見に行った。 「なんだ、あの人……」  呟けば、予想外のところから応えが返って来た。 「まぁた曲者が来たねぇ」  てっきり一人だと思っていた義隆は、突然聞こえた寛太の声にビクリと身体を強張らす。 発生源は、階段横のトイレである。
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