第二章

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 義隆にとっては必死かつ真っ当な主張だったが、寛太は悪びれもせずに「まぁそう言うな」と笑顔である。 昨日一日で、こいつには何を言っても無駄な性格だとは分かったのだが、それでも口にしてしまうのは自分がまともな性格だからだ。 自分で自分を落ち着かせるためにそんな事を考えているうちに、寛太はひらりと二階へ行ってしまった。 「はあぁぁ~」と長く重い溜息を吐いていると、藤原夫妻が階段を降りて来た。 「少しもめてたみたいだけど、大丈夫?」 「大丈夫です。俺はもう、寛太さんを育てた人の顔が見たくて仕方ありません……」 「寛太くんは心配いらないわ。ああ見えてしっかりしてるから。気になったのは撫子ちゃんよ」
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