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時「…っ、…んだ…これ…。」 美味しい… 濃厚で、甘露で 喉を潤おし、腹を満たしながら、欲望を刺激する。 時「…っと……。」 欲しい もっと もっともっと 血が欲しい。 どうして、こんなに求めるのか 自分を止められない位、求めるのか それは、きっと 空を血を吸う時には感じず 仁や和也の血を吸う時に感じた "体内に取り込む熱い血が全身に染みて、溶けて一つになる" その感覚だろう。 細胞一つ一つにまで熱い血が染みて、溶けて 互いの血が混ざり合い、自分との境界線が消え まるで、一つになって埋め尽される様な感覚。 薄々、その感覚に満たされると知っていたが 空の血を吸った時の様に満たされると 仁と和也の血を吸って自覚した。 だからこそ 喉が潤い、腹が満たされても、必要以上に求めてしまうのかもしれない。 空の血では、同じ感覚を感じれないから。 純血と混血が躯の関係を持てないのと同じでね。 "毒"とされる純血の血は 誰の中に存在しても、その血は純血のもの。 他の血みたく、躯に染みても、溶けて一つになる事はない。 互いの血が混ざり合う事も、自分との境界線が消える事もない。
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