決戦のための散会

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  カグラは一つ咳払いをする。 『真白には身寄りがありません。特殊異能力解析開発研究所とは、“魔導協会”が運営している魔導組織です。そして特殊異能力解析開発研究所の実験体には、身寄りの無い子供が用いられています』 苦虫を噛み潰したように顔を歪める黒斗だが、通話中の相手はそれを知らない。 『真白も例外ではありませんが、彼女は人工異能力適合率第一位のためか、特殊異能力解析開発研究所の所長…すなわち貴方の父君に気に入られていたようです。そして――言葉が悪くなりますが――死に際に貴方の下へ行くように、と告げたようです』 「それは母さんにも聞いた」 もしかすると、真白はサイトが残した遺産なのかも知れない。 “魔導協会上層部”は『新世界への道標』のために白の本質を造らせ、頃合いを見て特殊異能力解析開発研究所へ引き取りに来た。 だが、サイトが真白に黒斗の下へ行くように指示したのは、なんらかの意味があるからのはずだ。 ただ逃がすためだけではない。 それだけであるはずがない。 じゃなければ、サイトの行動が明らかにおかしなものだから。  
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