決戦のための散会

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  特殊異能力解析開発研究所は“魔導協会”の傘下だ。 つまり白の本質の研究も、実質的には“魔導協会”が行っていると考えて差し支えない。 ならば、特殊異能力解析開発研究所が研究し、完成させた白の本質は、無条件で“魔導協会”へ謙譲しなくてはならない。 そのために特殊異能力解析開発研究所は白の本質を研究していたのだろうから。 しかし、蓋を開けてみると、特殊異能力解析開発研究所のトップに立っているサイトは、“魔導協会”に敵対している黒斗の下へ行くように、白の本質適合率第一位である真白に告げている。 “魔導協会”の傘下にいるサイトが行う指示としては、それはあまりにもおかしい。 黒斗は考えた。 自らの記憶にある父親の姿を思い出し、なにか手掛かりがないかと模索する。 思い出すのは父親と最後に交わした言葉。 『世界のための研究だ!』 世界のための研究。 それははたして、世界の“なにの”ための研究なのか。 平和のためか、戦争のためか。 いまはまだ…黒斗には解らない。  
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