決戦のための散会

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  いくら考えても仕方がなかった。 解らないものは解らない。 ヒントが少なすぎる。 それに、謎の男が自らが“魔導協会上層部”であることを告げたのは、シーナにボコボコにされた後だと云うではないか。 最初に言っていればスムーズに渡されたかも知れないし、第一に特殊異能力解析開発研究所へ攻撃した意味がわからない。 何度も言うが特殊異能力解析開発研究所は“魔導協会”の傘下であるため、もし謎の男が本当に“魔導協会上層部”ならば、自らがそうであることを告げれば攻撃する必要はないのだ。 ヒントが少ないだけでなく、余計にややこしくなるようなことばかりが積み上げられているこの状況では、正しい答えは見つけられそうにはなかった。 よって、ドデカイ溜め息を一つ吐き捨てた黒斗は、受話器の向こうにいる人物へ向かって言う。 「わかった。真白はうちで預かる。エレナの方も理解した」 『そうですか、ありがとうございます。協力費…いえ、真白の生活費はこちらから貴方の銀行口座に振り込むよう手配します』 「いいのか!?そうしてもらえるとかなり助かるんだけど!!」 真白はあくまで特殊異能力解析開発研究所の実験体であって、聖女騎士団の構成員ではない。 そんな少女の生活費を出してくれるなんてとても太っ腹な組織だっ!と、資金面の問題が勝手に解決されてご満悦な黒斗だ。  
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