決戦のための散会

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  それに、シーナたちがあの男と戦ったところで、恐らく、黒斗の父親であるサイトは死していただろう。 母親からの電話連絡と、シーナと白い少女の話しを統合すると、結果は明白だ。 あの謎の男が使う魔法は、天使の力を用いていた。 天使の力とはすなわち、神が造り出した神の力。 サイトは『神力吸収術式』を使って、謎の男を弱体化させたらしい。 つまり、サイトがいなければシーナは先ほどのように、謎の男からの攻撃を防ぎきれるわけがない。 そう、サイトの死は決まっていた。 あの謎の男とサイトが出会った時点で、サイトに未来は無かった。 だから黒斗は、シーナと白い少女に向かって掛ける言葉がある。 「いや、あんたらのせいじゃねぇよ。父さんは戦ったんだ。戦って負けて死んじまったんだから…あんたらに責任なんかないだろ?」 黒斗は笑っていた。 とても辛いはずなのに、そんなことを感じさせないほど、強く笑っていた。 空元気なのは、皆解っている。 だが、口に出して言う者はいない。 これ以上彼を責めるわけには、いかないのだから。  
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