決戦のための散会

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  「その子だけじゃないわ」 声が聞こえた方を振り向くと、ベランダの向こうに少女が浮いている。 風を纏う少女は、頭の左部に髪を一房纏め、カジュアルな服装をしていた。 「ルディ!」 ベランダに降り立った少女に向かって、黒斗は歓喜の声を上げる。 その少女はルディアス・フロウレイ。 “黙示録の悪魔”との戦いのとき、黒斗に助力した魔導師の一人だ。 「ただいま、黒斗」 「おかえり。…案外早かったな」 ルディと会うのは一週間ぶりだった。 彼女は“魔導協会上層部”について情報を集めるため、暫し日本を離れていたのだ。 「挨拶は後に。ルディアス、真白だけではない、とは?」 至って冷静にエレナが訪ねる。 ルディは思い出したかのように拍手を打ち、 「“魔導協会上層部”は白の本質だけでなく、“魔導書籍”も集めているらしいの」 魔導書籍――、名の通り、魔法を扱う者をある領域まで導く本。 『永久の書』『覇道の書』『身体の書』『真理の書』『楽園の書』の、世界で僅か五冊しかない。  
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