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忘年会前日。
湯井さんは早生まれで未成年なので、忘年会には車で来る。私は行きを湯井さんに乗せてもらい、帰りは姉に来てもらうことになった。湯井さんと、帰りは私の代わりに高橋さんを乗せられたらいいねーという話をした。
帰りに乗せて行くなら、行きも乗せていいじゃないか。湯井さんは、高橋さんに彼女がいるかどうかは聞けたのに、なぜか一緒に忘年会に行こうとは言わなかったようだ。今度は私が言ってみよう。
出勤した時に、休憩室前で高橋さんを見つけた。
「高橋さん。私、明日湯井さんと一緒に車で行くんですけど、よかったら高橋さんも一緒に行きませんか?湯井さんは、いいよって言ってくれてます」
「運転は、青島ちゃん?」
「いえ、湯井さんが運転してくれます」
高橋さんは少し声をひそめて言った。
「湯井さんって誰?」
一瞬、私の脳みそが固まった。
「レジの、かわいい子ですけど。私とタメです」
「ふーん。オレ、青島ちゃん以外顔覚えてないからさ。よくわかんないや」
「え……、ああ、レジと品出しじゃ、あまり関わらないですしね」
高橋さんからすると、レジに立っている店員は風景に近いのだろう。
でも、私しかわからないって。私だけはわかる?志田未来に似てたから……か。
「遠慮するよ。歩くのは、ほんとに平気だからさ」
疑問に心が奪われそうになったけれど、高橋さんの返事が聞こえて我に返った。
「はい。わかりました」
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