嫌いです

当日。小雨が降っていた。

　しかも、高橋さんが時間に遅れている。幹事に、高橋さんからすぐ着くので入っていて下さいと連絡があったので、メンバーはひとまず先に飲み屋に入った。

　予約席に案内され、８人掛けの座敷に上がる。仲山さんや、湯井さんの気持ちを知っているメンバーは、湯井さんと高橋さんを座らせる位置をそれとなく調節した。湯井さんの正面を空ける。そこに高橋さんが座るはず。

　私は仲山さんと向かい合わせ。高橋さんの隣……。

　まずい。と一瞬思った。高橋さんは、私にばかり話し掛けるかもしれない。

　しかし、すぐに心の中で首を振る。

　自惚れたことを。まずいことなんてないだろう。

　やましいことも、ない。