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そこにはいつもと変わりない光景があった。ボコボコになった道路や割れたガラスの破片もない。
先ほどの爆発が嘘だとでも言うように全てが元通りになっている。
「はるくさん、私と一緒に学園へ来てくれませんか?」
この状況で己のペースを乱すことなく俺に問い掛ける幼女。
おまえ何者だ。
それよりなぜ俺の名前を知ってるんだろう。そしてなぜ俺を学園に勧誘するんだろう。さすがにこの歳で忍たまにはなれん。
「聞きたいことが山ほどあるがここから逃げるのが先だろ。」
内心プチパニックになりながらも俺の夕食や相棒が飛んでいった事実をまとめると、やはり逃げたほうが得策だと判断する。
「爆発なら心配ありませんよ?」
「……は?」
「はるくさんの適性検査が終わったので終了しました。」
次から次へと幼女との会話がまるで噛み合わない。と言うか意味が分からない。
誰かホンヤクコンニャク買ってこいよ。
と、俺の荒れ果てた心中(しんちゅう)を察してくれたのか今起こっていることを幼女が説明し始めた。
「申し遅れました。私の名はマーシャル・アーミテージと申します。先程の爆発ははるくさんを中心に半径100mに仮想現実を形成し、そのなかで行わせていただきました。したがって損壊した建物や負傷した方々は現実世界において何の影響もありません。次になぜ攻撃をしたかと言うとはるくさんの危機管理体制および身体能力の測定、また潜在能力を確認したかったからです。簡単に言えば大学に適した人物か否か学園長先生が検査したんですね。」
「なるほど。わからん。」
話がブッ飛びすぎて半分も理解できない。まず仮想現実なんて言ってるあたりからして怪しい。第一に俺はそんな危ない大学を受験した覚えがない。
「VCD学園附属エーボン・トレント大学を受験されましたよね。はるくさんは今回、見事合格したので私が通知しに来たんです。学園長先生がはるくさんとお話がしたいとテレパシーを受け取ったのですぐに学園に来て頂けませんか?」
「…言いたいことは分かった。今すぐ学園へ案内してくれ。」
どこからともなく怪しい匂いがプンプンするが、それだけの理由でこんなビッグチャンスを逃すわけにはいかない。ここは大人しくそちら側に従うべきだろJK。
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