Prologue

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たしか、バイトをし始めて二ヶ月くらい経った時だったと思う。 「お前がタコ焼きを焼いてるのか」 お客さんからそんなことを言われたのは、その時が初めてだった。 気が動転していたわたしは、 「えっあっあぁぁっぁはいっ」 と、かなりどもりながら必死に頷いたのを覚えている。 わたしが頷くと、お客さんは、 「ふーん」 と、興味なさげに呟いてから消えてしまったのでわたしには何がなんだか、その時はわからなかった。 だけどきっと、これがフラグだったんだと、思う。 「……綺麗な人………」 そのお客さんが、あまりにも綺麗な顔立ちに今の日本では珍しい、着流しを着ていたせいかわたしはしばらくボーッとしていた。 あれから、一年……。  
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