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横山は8月中旬に、家族で海へと出かけた。
泳ぎに自信のある横山は、その時にブイに手が触れる位置で泳いでいた。
かなり深いため、周りで泳いでいる者は居なかった。
しばらく泳いでいると、横山は突然何者かに足を掴まれた。
慌てて振りほどこうしたが、掴んでいるのは1人ではなかった。
横山が水中で見た者達は、一目で「死者」と分かる姿だった。
腐敗し、海水でブクブクに膨れた体を見て、「生者」として見る者は居ないだろう。
そう、海で死んだ者が横山を引き込もうとしていたのだ。
普通なら、この状態の横山が助かる筈がなかった。
だが、横山は「死者」達と取引をしたために助かったと言うのだ。
縦川はその取引の内容が気になったが、休憩時間が終わったために聞くことが出来なかった。
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