Second.

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会場が水を打ったかのように静かになる。 3人も思わず背筋を伸ばした。 さらに高い位置にある舞台の照明がカシャッと音を立てて光を放ちはじめる。 その光に中を60代半ばと思われる老人が歩いてきた。 いかにもプロといったアナウンサーが司会を始めた。 「ただ今より平成23年度、入学式を始めます。 気を付け、礼。 まず、高等学部学園長、桜井よりお祝いの言葉があります。」 「皆さん、ご入学おめでとうございます。入学するに先立ち、私桜井から皆様に……」 至って普通のお祝いの言葉に、美鈴はだんだん眠くなってきた。 目は開いているがぼーっと魂が抜け落ちて行く気がする。 その後に続く、大学学園長、PTA会長、在校生、新入生の挨拶も右から左へ聞き流す要領で、思考能力は完全に停止していた。
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