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古びた鏡に映る姿に美鈴は思わず笑み崩れた。
「わぁぁあ
やっぱりかわいい!!
死ぬほど頑張ったかいがあるわねっ!!」
彼女が着ているのは国内屈指の有名私立高校、皐月学園の制服。
美鈴ははぁっとため息をついた。
(まさか私がこんな「お金持ち専門」みたいな学校の制服を着ることになるなんてねー…)
美鈴の家――雨宮家は決して金持ちではない。
いや、むしろ貧乏と形容したほうがしっくりとくる。
父、雨宮海斗(アマミヤカイト)が亡くなって7年。
残されたのは13歳の兄、淳史(アツシ)と美鈴、そして病弱で寝たきりの母親小夜(サヨ)。
頼れる身内もおらず、生活保護を受けながらも家計は火の車。
アパートの家賃も払えなくなり、5年前、父方の祖父が唯一残してくれた家に引っ越して来たのである。
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