First.

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「美鈴ー また屋根崩れてるよ??」 庭から聞こえる淳の声に美鈴ははっとした。 広いだけが取り柄のこの家では、雨が降るたびに新しい雨漏りが発見され、瓦や壁は日常茶飯事のように崩れる。 修繕費も半端ではなく、高卒で就職した淳の給料や、なけなしの美鈴のバイト代は見る見る内に消えていくのだった。 「あーっもうっ!!あちこち崩れるばっかで直しきれないわよぉっ ごめん、お兄ちゃん直しといて!!わたし今日入学式だからっ」 ボール紙で所々補強してある窓から、淳は顔を覗かせた。 「あれ?? 今日だっけ入学式。 …うわっ高そうな制服 それも奨学金で出るのか??」 なぜ貧乏を絵に書いたかのような雨宮家の娘が、超絶お坊ちゃまお嬢様学校に入れたのか。 それは一重に美鈴が奨学生だからである。 「そうっ かわいいでしょ?? おまけに毎日のランチも夏の合宿も修学旅行のフランスもぜーんぶタダ!!」 「全くずる賢いとはこのことだな…まぁ俺は成績不優秀だったから夢のまた夢だったけど…」 乾いた笑い声をあげる兄に、美鈴は呆れたように肩をすくめた。 我が兄ながらなかなか顔は良いと思うのだが、頭の方はさっぱりらしい。
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