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「さて…いよいよ高等部も入学式ですな。
今年の奨学生は…
朝川輝(アサカワヒカル)、葉月颯太(ハヅキソウタ)、雨宮美鈴ですか。」
畑中の言葉に桜井はうれしそうに微笑んだ。
「えー
みんな本当に成績優秀でして、特に雨宮さんは有望株です」
彼は雨宮美鈴の書いた小論文を思い浮べていた。うまく育てば素晴らしい生徒へと成長するであろうおもしろそうな少女。
「それは楽しみだ。
そういえば桜井先生、奨学生対策はもうたっていますかの??
奨学生は育ってきた環境がまったく違う子もおりますのでな。居場所がなくなりでもして芽を潰してしまうのはもったいない。」
奨学生、とりわけ家が貧乏な生徒にとって、目を剥くような大金を払って通う一般生は住む世界の違う人間のように映るのであろう。
溶け込めないまま実力を出せない生徒や、やめてしまう生徒も少なくはなかった。
「えぇ
今年はとっておきの策があるのですよ…」
桜井はにやりと笑った。
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