気付いてたのかもしれない

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……‥‥ 西野には聞きたいことがまだあったんに、まるで逃げるようにタクシーから居なくなってしまった 西野が降りてから急に静まり返るタクシーの中… ―スースー… 聞こえるのは井上さんの規則正しい寝息だけ… 「(てかこの場合僕がいのーえを家まで送らなあかんねやな…)」 めんどくさい…とまではいかないが、今この状態での二人きりは正直キツイとは思う 「ウーン…‥」 ―コテン 「(ビクッ)!?いのーえさん!?」 どうしようかと悩んでいる最中に寝返りを打った井上が僕の肩に頭を乗せてきたため、驚きのあまり肩が一瞬跳ねる 「…スースー」 …起きる気配なし…‥ 「(!?ええぇぇぇぇぇえ!!!!!?)」 いのーえの家までこの状態!? いつもやったらすぐに頭を叩いてでも起こすんやけど 西野があんなこと言うから変に意識していのーえに触れることができない… 「(くっそー西野のヤツ〰!)」 いつかしばいたる!! いのーえの様子が気になり、チラッといのーえを盗み見てみる 酒のせいでほんのり赤く染まった頬 ゆるんだシャツとネクタイの間から見える肌 一重の瞳から揺れる睫毛 「(…相変わらず肌白いなぁ…睫毛もこんなに長かったっけ…?)」 ―スッ 思わず、何の躊躇いもなくいのーえの頬に触れる 「(相変わらず触り心地ええなー)」 頬を撫でていたはずの手が今度は井上の唇の輪郭をなぞっていた .
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