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はあ、はあ、はぁっ…。
ここは日本の都会の。某都のビルが立ち並ぶビル群
その内の一角にある十字路になっている路地に『彼』はいた。
「くそっ…。」
そう、毒づいた『彼』は忌々しげ(いまいましげ)に近くの壁に寄りかかりながら先ほど走ってきた道に眼を向けた。
そして、すぐに前を向き、息を整え走ろうと足を動かそうとした………。
が
足元にドンっという
甲高い銃声音と共に
チュイン!!
と銃弾が着弾した
「!!!?。」
これに『彼』は眼をむいて唖然とした表情になり、銃声が聞こえた方向に目を向けた…。
追いつかれたのかよ!?
そう動揺した思考のままで…。
だから、気付かなかったのだ
背後に迫る人影に…。
次の瞬間
「はーい、追いかけっこは終わりだよーう。」
というどこか飄々(ひょうひょう)とした壮年の男性の声が背後から聞こえ、
次の瞬間『彼』は路地の近くの壁に後ろから叩きつけられた。
「おぶっ!?」
という情けない声を発しながら…。
体の痛みと屈辱に怒りを帯びた目で自分を壁に叩きつけた人物に目を向ける…。
その男は、一昔前の小説や漫画、ドラマに出てくる極貧(ごくひん)な探偵のような服装をしており、顎に無精ひげを生やし、その声に似合う死んだ魚を思わせる… しかし、何処か優しげな眼をした男だった…。
そして男は『彼』の怒気を孕んだ(はらんだ)視線を受け流すようににこりと笑いながら、
「はいっ、俺の勝ち!。」
と呑気な口調で宣言した。
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