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「なんだ?いきなり顔色変えて。もしかしてさっきのジタバタはトイレに行きたいって事だったのか?ならば急ごう」
俺は首をブンブン降って否定し画面に向かって指を指すが、ジックがやたらバンバン叩くので画面がぷっつりと消えてしまう
(おいぃ!!金髪青目、何してくれてんだよ!やめろ、刈り上げ大男!!ちがっ、違うんだ~)
「さぁ、案内しよう」
ジョズはそんなことおかまいなしに俺をトイレへと連行していく
「たくっ、まだ話は終わってねぇぞ!戻って来たら一発シバくぞ!!」
背中からそんな声を聞いて俺は今までよりも一層肩を落とす
◆
トイレへの入口は一つしかなく、手洗い台と鏡、便座が一つの小さな部屋に敷き詰めてある男女共用の公衆トイレだ
俺を押し入れたジョズはエントランスで待っていると言って立ち去ってしまった
(なんか色々とマズい事になったぞ…)
とりあえず扉の鍵を閉めて便座の蓋の上に座り状況を整理していく
(まずはじめに、ええと…十字路の真ん中で目が覚めて?、そこから公園のゲートをくぐった。そしたら景色が変わって戦場に……。ああ、どう考えてもおかしだろ!?)
状況を整理しようとするが、まだここがリアルだと信じられず再び混乱する
(だいたいやっと人に会えたと思ったら戦闘に巻き込まれるし、周りから変な目で見られてるし……、おまけに何かボス的な奴倒しちゃってるし!?)
考えれば考えるほど夢だと思いたくなるような出来事ばかりで、どうにも収集がつかなくなる
(しかも、声が出ないって致命的だろ!?コミュニケーションどうすんだ!このままじゃ誤解生むばっかりで先に進まない)
そこで新たな疑問というか事実が浮上する
(そういえば…俺、目が覚めてからずっと声出してなかったよう、な)
そうすると声は初めから出せなかった可能性がある
俺は下に俯きながら身体を震わせる
何かとてつもない恐怖感、孤独感がじわじわと襲いかかってきていた
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