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やわらかな風が体をなでながら通り過ぎていく
そこに花の香りが後からやってきて鼻をくすぐる
何かが行き交う重たい音が鼓膜を震わせる
足の裏がひんやりと冷たい感触をとらえる
瞼の奥から何やら光を感じ、そこでやっと目を開けていく
ゆっくり、ゆっくりと
光の眩しさに眼を細めながら辺りを見回す
(こ…こは、何処だ?初めてみる場所だ・・・)
二階建てで煉瓦作りの家が細い道を挟んで何軒も並んでいる
細い道には見たこともないようなユニークな形をした車が走っている
音の正体はこれのせいだったらしく、聴いたこともないエンジンの駆動音をたてながら通り過ぎていく
目の前の細道に歩道は見当たらず、車と車がすれ違うだけで背筋がヒヤリとするくらいわずかな隙間しか空いていない
もしこの道の先に徒歩で行くとするならば、それは地元の人、もしくは地理のある慣れた人でしかわからない道を使うのだろう
上を向くと太陽がここぞとばかりに輝き、青く透き通る空に白く大きな雲が漂っていた
俺はそのまま後ろに振り返る
すると広い青空はより一層広大さを増し、その下には中世ヨーロッパの古い街並みの様な住宅街が軒を連ね、さらにその奥には太陽の光をキラキラと反射させ瞬く海が広がっていた
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