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その後はとにかく必死だった
言われた通りジックの後にとにかくついて行き、激しく展開される銃撃戦のなかを進んでいく
途中何度か危ない場面に遭遇したが、ジョズやジックが守りに入り敵を薙ぎ倒していく
こうして先ほど見た両目眼帯の赤髪男―――ビズと合流し、なんだかRPGによく出てくるお決まりのでかい機械の塊を倒し、戦争は終わった
戦場を駆け抜ける間、ジックに渡されたエイピルを一度も使わなかった
そして今、戦場とは打って変わって再び誰もいない公園に戻り、その一角にある休憩室のような部屋で質問攻めにされている最中だ
五人の少年は円形状に椅子を並べて座り、その中心に俺が床に正座している状態だ
みんな俺と同じくらいの歳に見えるのにその視線から放たれるオーラは、それだけで人を殺せるのではないかと思うくらい鋭く冷たいモノだった
「んで、いつになったら話してくれんだ?なぁ?お前は誰だ?どうやってウォーゾーンに入ってきたんだ!?いいから早く答えろよ!」
ジックはもう何度目になるかわからない質問を俺に浴びせていた
俺は俺で必死に伝えようとするのだが、おかしなことに声が出なかった
出てくるのは掠れた息のみで俺は再び混乱していた
(どういう事だ!?おかしい、全く言葉が出てこない!相手の言っている事は理解できるし、喉だって別に痛めた訳じゃない。どうしてだ!?)
俺はなりふりかまわず身体全体を駆使してジタバタとジェスチャーする
「まぁ、ジック。落ち着け。乱暴に質問しても埒が明かないのは判るだろ」
「んなこと言ってられっかよ!どうすんだ、このスコア。今日の目標より遥かに低いじゃねぇか」
言いながら休憩室の壁に表示されている数字をバンバンッと叩く
それに吊られて全員の視線がソコに集中し、『1956』と表示された数字に俺以外の四人は各々ため息を吐く
数字以外にも様々な文字の羅列や先ほどの戦場の映像が映し出されているが、文字は見たこともないモノで全く読めないので俺はハナから映像しか観ていない
映像の中では連携を組んで敵を倒すジョズやジックの姿が映し出されていて、俺の姿は全く映らない
不思議な事に戦闘中に見かけなかった白いワンピースの銀髪少女が所々映り込んでいる
俺は幽霊でも見た気分になり、顔を青くしたまま固まってしまった
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