命名 幽太

3/12
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
多分歳は私と同じくらい。 夕日を背にしているのに、顔はハッキリと分かった。 端正な顔立ちだ。 私はとっさに思った。 この人、この踏切で死んじゃった人なんじゃないかって……。 そう思ったら、ちょっと背筋が寒くなった。 次の瞬間、パッと目の前を何かが通り過ぎた。 『君もしかして、俺の事見えてるよね?』 目の前には、その端正な顔立ちがあった。 私は目をつむってブンブンと首を横に振った。 『あっ、やっぱ正解?見えてるんだ』 その端正な顔立ちのフワフワ浮かぶ幽霊らしき男の子は、満面の笑みでそう言った。
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!