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声のした方を向くと、そこには小柄な少女がベッドに座ってこちらを見ていた。
年齢は俺と同じぐらいだろうか。
ちなみに俺は小学三年生だ。
「お………お兄ちゃんがねぇ、寝てろって怒るのー」
わんわん泣きながら真子は言う。
その少女は手招きをした。
「こっちにおいで?」
天使のような柔らかい微笑み。
真子はすっと泣き止み、ふらふらと少女のもとへ向かった。
「真子ちゃん………だったよね?」
「うん」
少女はにっこり笑って真子の頭を撫でた。
「怒るなんてひどいねー?」
少女は俺をちらりと見る。
「あのなー、俺は……!」
なんだか自分が悪者になったようで気に食わず、俺は抗議の声を上げようとした。
「でもさ、お兄ちゃんは真子ちゃんを心配してるんだよ」
その言葉を聞いて、俺の沸いてきた怒りは次第に薄れる。
「でも、怒鳴ってきたもん…!」
「それはね、真子ちゃんが大好きだからなんだよ?」
「……………え?」
きょとんとして首を傾げる真子。
少女はクスッと笑った。
「真子ちゃん元気でいて欲しいから、怒るんだよ。
病気が悪くなって欲しくないから」
真子はしばらく黙ったまま俯くと、顔を上げてこちらに走って来た。
「おにーちゃん……ごめんね。
真子、悪い子……。ちゃんと寝てなかった…」
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