第四章 【黒幕】

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「滝川、立てるか?」 「はい…」 伊達さんに肩を借りながら沢山の捜査員の中を出口に向かって歩く。 その俺の手には警視正の携帯が握られていたことに誰も気付かなかった。 車で施設の外まで運ばれる。 「尚輝!!」 「薫…」 目頭が熱くなる。 「尚輝…しっかりして!!」 「俺は大丈夫だ」 血だらけの手で薫を抱き締めた。 沢山のテレビ局のカメラが俺達に向けられている。 「全員…無事か?」 「うん。 皆、病院に搬送されたよ。 尚輝のお陰で皆無事だよ」 「そうか…でも、斉藤は救えなかった…」 「滝川。 それはお前のせいじゃない」 伊達さんが励ましてくれる。 「早く救急車に乗って下さい!!」 俺はストレッチャーにのせられ、薫と伊達さんに付き添われて救急車に乗った。 痛み止めの点滴で意識が朦朧とする。 「薫…」 俺は手を差し出した。 薫は強く握ってくれる。 その手に血だらけの携帯を持たせた。 「滝川…それ…」 「頼む…預かっていてくれ…」 「うん!! わかった!!」 そのまま俺の意識は途切れた。 意識の無いまま手術が行われ、目を覚ましたのはまたICU。 「尚輝!! 大丈夫!?」
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