第四章 【黒幕】

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俺の腕の中で斉藤は力尽きた。 「斉藤…」 流れる涙を止められない。 「滝川、射殺だ。 これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない」 俺は腹を押さえる警視正を見つめる。 「駄目です。 警視正には真実を話し、罪を償う義務があ…」 パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!! 俺の顔に血が飛び散る。 な…何が起きたんだ? 警視正の体は何度も血を吹き跳ねて……。 俺はゆっくり壁の扉を見た。 特殊部隊……今更…。 射殺命令が出たんだとすぐにわかった。 警視正の口封じ…。 「大丈夫ですか!?」 救急隊員に話しかけられる。 「コイツを!! 斉藤を助けて下さい!! お願いします!!」 斉藤の体を隊員に見せる。 「残念ですが…既に…」 「何でだよ!! アンタ等の仕事は人の命を救うことだろ!? 頼むよ!! 斉藤を助けてくれ!!」 するとポンと肩を叩かれる。 「滝川。 しっかりしろ。 お前は刑事なんだぞ?」 「伊達さん…」 俺は伊達さんを見上げる。 「そんな顔するな…。 こっちまで泣きたくなるだろ…」 伊達さんは俺に背中を向けた。 斉藤の遺体が運ばれて行くのをただボーッと見つめていた。 結局、黒幕は解らずじまい…。
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