第四章 【黒幕】

22/23
2856人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
母さんに父さん…。 伊達さんに薫、源。 俺はゆっくり酸素マスクをずらした。 「この光景…よく見るな…」 そう言うと皆が笑った。 結局、伊達さんは肋骨を折っていた。 「何で同じ病室なんですか」 「それは俺が聞きたいよ。 誰が好きでイチャつくカップルの横で1人寂しく居たいんだよ」 コンコン!! 「はい」 伊達さんは不機嫌に返事をする。 「こんにちは」 「あっ!! 青井さん」 「今日もお見舞いに来ちゃいました」 伊達さんが青井さんを好きな気はしていたけれど、まさか両想いとは…。 鈍感な伊達さんはまだ気付いていないけれど。 ちなみに病室には盗聴器が仕掛けられている。 警視正の携帯が見つからないことも本庁では問題になっていた。 何度も事情聴取をされたけど、俺は知らないと言い続けた。 携帯は修吾の墓に隠してある。 きっと、修吾が守ってくれる…本当の黒幕への手がかりを。 必ずそいつに手錠をかけてやる。 伊達さんは1週間ほどで退院し、怪我だけで無く精神的にカウンセリングが必要とされた俺は3ヶ月近く入院をした。 斉藤の死に顔が頭から離れない。 必ず敵は討ってやる。 俺なりの方法で…必ず。
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!