第二章 【偽物】

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「お疲れ様です」 俺はやっと普通に署に入れた。 「おお!! 滝川、もう大丈夫か!?」 「課長、ご心配かけてすみませんでした」 「戻ってすぐに何だが…本部から連絡があって水木 薫さんが拉致された場所がわかったそうだ。 行くか?」 薫が!? 「何処ですか!?」 「自宅最寄り駅、改札を出てすぐにロータリーで黒いワゴン車に乗せられたそうだ。 目撃者も数人見つかったそうだ」 「人目もはばからず駅のロータリーか。 滝川、行くぞ」 「伊達さん。 伊達さんはスーパーの防犯カメラをお願いします。 現場には俺1人で行ってきます」 「滝川…でもお前…」 「お願いします。 1人で行かせてください」 俺を想いながら薫が歩いた道を、今度は俺がお前を想いながら歩く…。 「わかった。 何かあったら連絡しろ」 「はい」 「それと滝川、拳銃の携帯命令が出た」 俺は振り向き課長を見た。 「拳銃ですか!?」 「山下が生きていたんだろ? 組から拳銃も持ち出した可能性がある。 拳銃を受け取って行け」 事件の警戒レベルが上がったってことか…。 「わかりました」 俺は地下で拳銃を受け取った。 「じゃあ、行ってきます」
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