2858人が本棚に入れています
本棚に追加
「滝川、気を付けろよ?」
「はい。
伊達さんもビデオ宜しくお願いします」
俺は駅に向かって歩く。
そして薫も乗った電車に乗る。
俺に約束をやぶられて、きっと悲しい気持ちでここを通った。
寂しくて不安で…。
まさか自分が拉致されるとも思わずに。
そして自宅最寄り駅で電車を降りる。
俺は薫の行動を想像しながら歩いた。
改札を出ると警官、刑事、鑑識が捜査をしていた。
何事かと人だかりができている。
「お疲れ様です」
俺は近くにいた刑事に警察手帳を見せた。
「お疲れ」
また視線が刺さる。
「すみません。
状況を教えてもらえますか?」
「昨夜22時25分、被害者は電車を降り、改札を通過したことは定期券で確認が取れた。
被害者は駅からいつも徒歩か?」
さっきから被害者、被害者って…。
「水木 薫は夜はバスで自宅に帰ります。
徒歩であればロータリーには近づかないと思いますから、昨夜もバスに乗るつもりだったんだと思います。
それに、自宅までは人通りが少ない場所が何ヵ所かあります。
徒歩なら何もこんな人目につく場所で犯行を行う必要はありません」
「さすが彼氏だな」
カチン!!
「今、それは関係ありませんよね?
目撃者の連絡先を教えて下さい。
話を聞いてきます」
俺は冷ややかな目で睨み付けた。
最初のコメントを投稿しよう!