第二章 【偽物】

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「山下を仲間に選んだのも異常な行動ですよね。 何故一番憎いはずの山下なのか…。 2人の会話が想像できない。 それに電話で斉藤は山下のことを呼び捨てにしてましたけど、それもあり得ない。 俺が知ってる2人の関係を考えたら…どこかで2人の関係は逆転しているんじゃないかと。 権力では斉藤が上なんだと思うんです。 主導権が斉藤にあるとしたら…山下は脅されてるんでしょうか…」 「山下は独身だし、ゆすられるとすれば組でのことだけだろうな」 やっぱりそうだよな…。 「それと…第3の人物が居るんですよ」 「第3の人物?」 「はい…薫を連れ去ったのは山下で間違いありません。 でも、どの証言もワゴン車の後部ドアから出てきた男が女の人を後部座席に引きずり込んだ…なんです。 運転席には他の誰かが居たことになるし、実際に運転手は別だったという証言もある。 斉藤は免許はないから違うと思うんです。 だとしたらあと1人は誰なのか…」 「斉藤が無免で…とかじゃないのか?」 「う~ん…」 ピンと来ない。 「関係者で姿を消してる人間はいないんですか?」 「居たら本部が気付いてるだろ? 関係者には警護をつけてるんだから」 「そうですよね」 じゃあ誰なんだろう…。
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