第二章 【偽物】

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「元教育委員長は事件のショックから心身喪失状態で、今も話せない状態だ。 それに入院先はシークレットだ」 「無事は確認できてるんですか?」 斉藤が俺のせいで殺すのをしくじった相手。 「今、確認する」 警視正自ら病院に電話をする。 待たされる時間が長い。 ザワザワと嫌な予感がした。 「そうですか…。 わかりました。 早急にそちらに刑事を向かわせます」 警視正は電話を切り俺を見た。 「看護師に確認してもらったが…姿が見当たらないそうだ。 1時間前にはベッドに居るのを確認されている」 「すぐに現場に向かいます!!」 本庁の刑事数人が立ち上がった。 「いや…滝川、伊達。 君達が行ってくれ」 会議室がざわめく。 「わかりました。 場所を教えて下さい」 「他の刑事は引き続き聴き込みへ!! 解散!!」 会議室には俺と伊達さんだけが残された。 「病院はトップシークレットってことですか?」 伊達さんが聞いた。 「ああ。 これは上からの指示だ」 「わかりました。 念のため、鑑識を連れて行きたいんですが、南署の鑑識で良いですか?」 俺のただの勘だが…警視正は捜査員の中に斉藤達と繋がるものが居ると考えているのかもしれない。
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