真逆な二人。

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じゃあな、と告げて俺は家を後にした。俺は世間一般でいうところの、高校の入学式に向かっているところだ。 新たな世界に飛び込むことは期待と不安に満ちていて、それがどこかもどかしいっていうのが、まぁ所謂『普通』の15歳だな。 ところが、俺は少し違うんだな。 何が違うかというと、飛び抜けた特徴があり、勉強スポーツ料理に喧嘩、なんでもござれ。さらに言うとモテモテなイケメンで、さらに世界を守る選ばれた人間…だったら最高だよなぁ。 ―妄想をしながら、高校に向けて歩いていた彼は、少し立ち止まった。 そんな漫画やアニメのような、ましてはそれの主人公のような能力やスペックは持っているわけがなく、わたくし平山裕也はその逆なんですよ。 まぁ言うなれば、勉強スポーツ料理に喧嘩が、全くもって平凡。いや、平凡以下かな。 容姿? もちろんイケメンの逆でしょう。もちろんモテモテの逆でしょう。 その他沢山マイナス要素が盛り沢山だけど、考えるだけでやめておくよ。 あれ、なんか、目から鼻水が… まぁそんなこんなで既に人生は詰んでるわけで。期待とか不安とか、そんな次元に存在しないわけで。 あるのは他人にどれだけ迷惑をかけないだとか、どんだけ影を薄く生活するだとけてくるよ。 もちろん興味津々なことはある。それも人並み以上に。 でも期待するだけ損だから、興味すら持たないようにしているんだね。 はぁ…入学式すら憂鬱だよ。溜め息しかでないんだけれど。 まぁ…適当に平凡に、三年間を過ごしますか。 ―そうして彼は高校の方向に向けて再びのそりと歩き始めたのであった。この日から、とてもおかしな日々を歩むことを、15歳の少し、いやかなり捻くれた少年・平山裕也は、まだ知らない。
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