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「プログラムの内容について説明します。実験内で被験者になった人たちには被験者同士で、殺し合いをしていただきます。その際、より実験が進みやすくなるように被験者の皆さんにはこれをつけていただきます。」
「!?」
小山田は有子にベルトを渡した。
「………」
有子は恐る恐るそのベルトをゆっくりつけた。
「これは誰が被験者か、肉眼で判別するものであると同時に、ベルト式被験者探知機です。自分以外のこのベルトを装着した人間が半径五メートル以内にいると、このベルトに内蔵されているセンサーが反応して、ランプが点滅するようになってます。」
たしかに、ベルトにはランプのようなものがくっついていた。
「実験プログラムが行われるのは、ここA市内となっております。もしA市外に一歩でも出れば、スナイパーに射殺されますので、ご注意下さい。それから、もし、被験者を倒した場合、被験者1人につき、実験終了後に百万円が手渡されます。」
「……………」
世の中にはお金で買えないものだってある。
と、我々は教えられてきたはずだった。
だが、現に今、政府は私たちに人の命をお金で売ろうとしたのだった。
有子は呆然とした。
「プログラムが行われるのは明後日からの3日間です。我々の説明は以上です。何かご質問、等はございますでしょうか?」
「……………」
「ないようですね、それでは我々はこれで失礼致します」
(…………ん、でも、見つかりさえしなければ大丈夫だし、第一、家の中で隠れてれば……)
「あ、申し訳ございません。伝え忘れた点が一点ありました。」
帰ろうとした小山田が振り返り、有子に言った。
「そのベルト。無理に分解しようとすれば爆発する仕組みになってますので。」
「それと、もし建物の中に三時間以上居た場合はベルトから致死量に値する電流が流れますのでお気をつけ下さい。」
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